nontaのブログ

英語学習に興味・関心大です

村上春樹ワールド

 文学界七月号が書店に出ているのを
見て村上春樹の短編が掲載されて
いたので購入しました。最新作三篇
です。そのうち『チャーリー・パーカー・
プレイズ・ボサノヴァ』は題名からも
わかるようにジャズ・プレイヤーの
チャーリー・パーカー(バード)の話です。
村上春樹は自他共に認めるジャズ愛好家
です。いや、愛好家の域はとうに
超えているかも知れない。
 これは一言で言うとジャズ小説という
ものでしょう。
たとえば、バード(パーカー)が
アルトサックスを吹くときの様子を
彼はこのように描写している。
「バードはやがてマウスピースを口
にあて、リードの具合を試すように
注意深くひとつの音を出した。中略。
それらの音はしばらくそこに浮遊して
から、柔らかく地面に降りていった。
中略。バードは今度は前よりずっと
深い、芯のある一連の音を空中に送り
出した。そのようにして『コルコヴァド』
が始まった。
 このような表現はジャズに対する深い
知識の上に並みの評論家にはない作家的
力量があってはじめてなされ得るもの
でしょう。
 春樹ワールドを久々に堪能することが
できました。
他の二篇も読むのが楽しみです。